『激情万里』作家インタビュー  キム・ミョンゴン

『激情万里』作家インタビュー
キム・ミョンゴン(金明坤)

芸術家として、文化行政の専門家として、幅広く活躍してきたキム・ミョンゴンさん。日本では1994年に公開されたパンソリ映画『風の丘を越えて〜西便制』で父親役を演じた俳優と言えば、「ああ!」と思われる方も多いのではないだろうか。今も現役で活躍する彼に、演劇との出会いから、韓国の伝統芸術を現代的に取り入れることを目標にした劇団アリランの旗揚げ、そして『激情万里』に込めた思いなどを聞いた。 

演劇の道へ

 とにかくものを書くのが好きで、文学者になりたかった。大学ではドイツ語教育を専攻して、ゲーテやシラーなどの古典戯曲を耽読しました。演劇を始めたのは大学の劇研に入ってから。大学2年の時、はじめて演出助手につきました。民主化デモへの弾圧を批判する内容で、当時は台本の事前検閲があったから、当然上演禁止。それじゃ許可なしでやろうということになって…。ところが公演当日、機動隊が押しかけてきて建物入口のシャッターを下ろし、劇研の顧問や幹部は警察に連行されてしまいました。数時間後、劇研の幹部たちが戻ってきて、みんなで建物の前の階段に座って飲み明かした。これが人生最初の演劇体験です。

 大学3年生の時、劇研の部長になって、さらに演劇にのめりこみ、一生懸命やりすぎて体を壊してしまいました。でもその時、全羅道(チョンラド)の実家に戻って療養しながらパンソリを習いはじめた。ゲーテはファウストを書くためにドイツの神話や伝説、昔話などを研究したというでしょう。それなら僕は韓国の伝統を学んで、そこから再創作しよう、そう考えるきっかけになりました。

 大学卒業後は小さな出版社に就職しました。その当時『根の深い木』という月刊誌に、失われつつある昔の職業や伝統文化の担い手たちを探して聞き書きするシリーズを連載していたんです。その取材でさまざまな芸人や職人に直接話を聞き、韓国の伝統について学ぶことができました。(訳注=このシリーズは、『アリラン峠の旅人たち』というタイトルで日本語の翻訳書が出ている。)ところが会社勤めがよっぽど合ってなかったんでしょうね、うつ病になっちゃった。それで出版社は辞めて、高校でドイツ語を教えながら教師劇団状況に入って芝居を始めました。その劇団は政治的なごたごたで、じきに解散してしまいましたが。

劇団アリランを旗揚げ

 その後、本格的に演劇の世界に飛び込み、ハンドゥレや演友舞台など、民族劇(マダン劇)系列の劇団で伝統演戯を現代化する作業に取り組みました。そして1986年、ついに劇団アリランを旗揚げしたんです。翌年には民族劇フェスティバル「民族劇ハンマダン」も立ち上げました。全国で活動している民族劇団体が一堂に会し、一般の観客を対象に上演する初の試みです。

 当時、民族劇は一般の「演劇界」から距離があり、演劇と見なされていませんでした。民族劇は学生運動や労働運動と連帯し、主に工場や労働争議の現場、教会などで上演されていましたから。でも民族劇は社会性や教育的な機能が強いだけで、やっぱり演劇なんです。それが演劇として認められないのはおかしい。しかし一方で民族劇には、政治性や啓蒙などを重視するあまり、芸術的側面が軽視されやすい面もある。だからこそ「演劇界」と繋がりを持ちながら民族劇の芸術性を高めていきたいと思いました。そういう思いがあって劇団アリランは韓国演劇協会に加入したんです。その時、演劇協会の会長からは「とうとう我々の側につくのか?」と言われたし、逆に民族劇の仲間たちからは「俺たちを裏切る気か?」なんて言われました。

 『激情万里』をやろうと思ったのは、演劇界の中のそういう対立にもやもやを感じていたからです。そして、実はそれが日本の植民地時代から地続きではないかという疑問もありました。韓国は日本から解放された後、南北に分断されイデオロギーもまっぷたつに引き裂かれてしまったので、北と南では歴史の解釈がまったく違います。それは演劇史についても同じです。たとえば朝鮮の伝統的な広大(クァンデ=芸人)たちは学歴もない民衆だけど、彼らこそ歌、踊り、演技という総合的な芸術家だった。ところが日帝時代になって広大は蔑まれ迫害された。新派劇も同じです。逆に地主や財産家の息子たちが日本に留学して西洋の近代劇を学び、韓国に戻ってきて「これぞ演劇であり、芸術だ」と言って威張りはじめる。そういった歴史をもう一度とらえ直したかった。

『激情万里』とソウル演劇祭での論争

 『激情万里』は1991年にソウル演劇祭の自由参加作に選ばれました。対立や葛藤を克服するという作品のテーマに合わせて、主役級のキャストは劇団員ではなく、演劇界から実力のある俳優を客演として招きました。劇団のメンバーからは文句も出ましたよ。ところが公演の間際になって、ソウル演劇祭の事務局から「共産主義を擁護するような内容が問題だから演劇祭の参加を取り消す」という連絡がきたんです。紆余曲折はありましたが、結局、演劇祭に参加できなくても定期公演として上演し、観客の目で直接判断してもらうために、公開討論会を開くことにしました。討論会に出てきた韓国演劇協会の会長は、「1930年代のプロレタリア演劇から北朝鮮の社会主義演劇を経て、今日の民族劇につながっていると主張する半面、現在主流になっている演劇界の基盤を作った演劇人たちを、まるで親日・親米の反動分子のように描写するとはけしからん」と言いました。僕はただ1920年代以降の韓国演劇史をとらえなおし、北に渡った作家など、これまで評価されてこなかった演劇人たちに光を当てたかっただけで、特定の人物を断罪するつもりはありません。

 そんな状況でしたが、『激情万里』に対する観客の反応は良く、翌月に延長公演もしました。延長公演では僕が演出し、主人公のジョンミンも演じました。

 この作品には1920年代から1950年代までのさまざまな台本が劇中劇として挿入されています。映像資料は残っていないので、1913年生まれの老俳優、高雪峰(コ・ソルボン)さんに、当時の演劇の様式や演技術、台詞の言い回しなどについて、いろいろ教えてもらいました。彼は一流俳優じゃなかったけど、1930年代から驚くほど多くの舞台に端役で出演して、昔の演劇にとても詳しかった。『激情万里』の劇中劇に出てくる『アリラン』にも端役で出演していたんですよ。あとは1928年生まれの申出(シン・チュル)さんという無声映画の活弁をやっていた方からも台詞術を教わりました。新派劇の劇中劇は日本からの影響を強調するために、歌舞伎的なメーキャップや演技を取り入れたりしました。

再演時の変化

 劇団アリランの創立20周年記念公演として、2006年4月、大学路アルコ大劇場で『激情万里』を再演しました。初演から15年が経ち、政治や社会の状況がかなり変わっていたので、政治的なメッセージを前面に出すより、舞台作品としての完成度を高めようと判断しました。初演時には、演劇史を俯瞰する第三者の視点として解説者を置き、叙事的演劇の効果を狙いましたが、少し説明的になりすぎる面もあったので、再演時には舞台転換に歌を入れて、歌手を解説者の代わりにしました。僕は政治的な主張を観客に押し付けたり、難解な芸術性を強調したりするより、一般の観客が泣いたり笑ったりして楽しみながら、見た後に何か考えさせられる、そんな芸術を理想としています。言ってみれば、広大の精神ですね。

今後の予定

 書きたい素材は30〜40くらい頭の中にあるので、たぶん死ぬまで困ることはないと思いますよ。(笑)これはひとつの夢、ライフワークですが、ドイツの『ニーベルングの指環』のように、韓国の神話や伝説をもとにした三部作を書きたいと思ってます。形式はオペラになるか、唱劇(訳注=パンソリを取り入れたオペラ)になるか…?とにかく音楽劇にしたいですね。僕はパンソリもやりますが、最近は声楽をやっていて、音楽的な要素は欠かせません。

最後に日本の観客に一言

 『激情万里』は背景に日韓の歴史的な部分が描かれているので、日本の観客の反応が気になります。しかし韓国に限らず、どこの国でも起こりうる状況で、芸術家がどう生きるかという普遍的な問題を描いた作品だと思っています。客観的な目で見ていただけると嬉しいです。

(聞き手=石川樹里)

韓国現代戯曲ドラマリーディングX


2021/1/20追加:
紹介作家インタビューをHPに公開しました。

01 キム・ミョンゴンさんインタビュー(聞き手=石川樹里)
02 ソン・ウッキョンさんインタビュー(聞き手=上野紀子)
03 ク・ジャへさんインタビュー(聞き手=洪明花)

韓国現代戯曲ドラマリーディングⅩ
2021年1月27日(水)~31日(日)
座・高円寺1


『韓国現代戯曲ドラマリーディングⅩ』についてのお知らせ

1月7日、政府より緊急事態宣言が発出されたことを受け、日韓演劇交流センターでは、公演につきまして、今後の対応を検討させていただきました。

内閣官房より各都道府県に通達された1月7日付の事務連絡にのっとり、「1月11日までに販売済のチケットについては、収容定員制限を適用せず、キャンセルも不要」という内容を受け、下記の対応を行ったうえで、上演させていただきます。

日韓演劇交流センターは長きにわたり韓国の演劇人たちと交流を深めてきました。お互いの国で、10回ずつを目標に2002年から始まった交流は20年目となりました。その間、日韓の政治的な軋轢が何度もありましたが、この交流の火は消えることなく、むしろ徐々に燃え上がってきたと言えるのではないでしょうか。

しかしながら、現在のコロナ禍は未曽有の状況を生み出し、日韓だけでなく、世界中がパンデミックの渦の中にあり、韓国の演劇人たちも日本同様に厳しい状況の中で活動を続けていると聞いています。私たちはその最中で、10回目まではと約束した、いったん一区切りの、最後の日本でのリーディング公演を準備してまいりました。何とか韓国からゲストをお招きできないかと、ぎりぎりまで模索してきましたが、今回は残念ながら韓国からお招きすることを断念し、リモートで実施することに決定いたしました。そうした時に7日の緊急事態宣言が発令されました。

日韓演劇交流センターは、とても脆弱な団体です。一般社団法人ではありますが、メンバーの所属団体はばらばらで、それぞれ別の仕事を持っている中で、力を寄せ合いながら組織を維持しています。今回の緊急事態宣言によって、場合によっては、中止・延期も覚悟していましたが、「1月11日までに販売済のチケットについては、収容定員制限を適用せず、キャンセルも不要」という通達が来ました。そのうえで、「一区切り」の後を見据え、どうしたらこの演劇交流を継続できるのか、という話をしました。

今、韓国も、公共劇場は閉鎖されたままです。一方で、民間の劇場では、上演が続いています。こういう状況下でも日韓の演劇人たちがそれぞれ仕事を継続していることは、お互いの励みになり、こうした厳しい状況を共有することにより、いつかお互いの国を訪れ、再び出会える日を夢見ることができるのではと思います。

今回の交流は、実際に対面することなく、終えることになりますが、戯曲の上演を通じて出会うことができるのが演劇の魅力であり、そのような交流により、最後の最後まで、お互いを感じあうリーディング公演になればと思っています。

万全の感染症対策をしたうえで、お客様をお迎えしたいと思います。

ご来場を心よりお待ちしております。

◆公演日程
1月30日(土)19時開演の公演を除き、すべて予定通り実施
1月30日(土)19時 → 18時開演
3作品とも上演時間は1時間40分前後になる予定です。

◆アフタートーク
すべての公演でのアフタートークを予定していましたが、1月27日(水)~29日(金)の公演終了後のアフタートークを中止します。
1月30日(土)・31日(日)の公演後のアフタートークは、観劇した方は観覧可能とし、リモートで会場と、韓国の劇作家をつないで実施します。
アフタートークは、アーカイブとして公演終了後、1週間から10日程度の期間限定で配信します。どなたでもご覧いただけます。

◆チケットなどについて
・客席数は定員の50%になります。
・全席自由のままになります。
・終演後の出演者との面会はご遠慮いただきます。
・自治体からの呼びかけを受け、来場の取りやめを希望されるお客様につきましては、チケット料金の払い戻しを承ります。
・すべての公演に記録映像のためのカメラが入ります。

◆お客様へのお願い
・入場時に消毒、検温など感染症予防対策を実施します。
・会場内では、観劇中を含めマスクのご着用をお願いします。
・咳やくしゃみやの際は、ハンカチ等による飛沫防止にご協力ください。
・体調不良の際は、ご観劇をお控えいただくようお願いします。
・購入時に必ず連絡の取れる連絡先をお聞きいたします。
・出演者へのスタンド花、プレゼントなどはご遠慮いたします。
・公的機関への個人情報の開示をする場合がありますのでご了承ください。
・観劇後に建物前には留まらずに、速やかなご帰宅をお願いいたします。
・終演後の出演者との面会はお控えいただきますようお願いいたします。
・毎公演ごとに本番前に客席の肘掛け、階段等の手摺、トイレの洗面台、ドアノブ、エレベーター内などの消毒いたします。

◆キャスト・スタッフについて
・スタッフは飛沫感染防止の観点から全員マスクを着用いたします。
・稽古期間より、毎日検温して臨んでおります。
・稽古初日および公演直前に全員PCR検査を受けます。

そのほか、お問合せなどは日韓演劇交流センター事務局までお願いいたします。
このような状況下ですが、少しでも多くの皆様にご覧いただければと思います。
どうぞよろしくお願いいたします。


『激情万里』 

(1991年初演) 
作:キム・ミョンゴン
翻訳:石川樹里
演出:南慎介

出演:加藤亮佑 川鍋知記 日下部そう 小林あや 小林咲子 ししどともこ(カムヰヤッセン) 中山朋文(theater 045 syndicate) とみやまあゆみ 永野和宏(劇団新人会) 蒔原朋実 松井壮大 山崎丸光 山森信太郎(髭亀鶴) 吉村公佑 渡邊真砂珠(文学座)

※出演予定だった田崎哲也は都合により中山朋文に変更になりました。

2021年1月27日(水)19:00
2021年1月30日(土)14:00 

30日 アフタートーク 南慎介×キム・ミョンゴン(リモート参加)

今日も新派劇団「北極星一座」開演の銅鑼が鳴り響く。
演目は『長恨夢』。尾崎紅葉の『金色夜叉』を翻案した大衆劇である。
「朝鮮の匂いがする偉大な芸術」を夢見て、ホン・ジョンミンら若手俳優は新派劇団を脱退するが、時代は彼らの理想を許さない。日本への抵抗か、服従か。共産主義か資本主義か。北か、南か。真の芸術を目指す若者たちは残酷なまでの二項対立に巻き込まれていく。
朝鮮半島を駆け抜けていった数々の戯曲、歌、そして俳優たちが描き出す、日帝時代から朝鮮戦争まで20年以上に渡る韓国近代演劇史クロニクル。


『椅子は悪くない』

(2002年初演)
作:ソン・ウッキョン 
翻訳:上野紀子
演出:鄭義信

出演:國崎史人 小飯塚貴世江(キヨエコーポレーション) 酒井和哉 根本大介 矢内文章(アトリエ・センターフォワード)

2021年1月28日(木)19:00
2021年1月30日(土)18:00(19:00から変更)

30日 アフタートーク 鄭義信×ソン・ウッキョン(リモート参加)

ふと通りかかった家具屋の前に置かれてあった椅子に、カン・ミョンギュはたちどころに心奪われた。カン・ミョンギュいわく、「歯を抜いた何年か後に、偶然その歯を見つけた」瞬間だった。すぐさま彼はその椅子を手に入れようとする。けれども店主のムン・ドクスは売るのを渋る。なぜなら、その椅子は息子のソンウがつくったもので、単に店先に飾っていたに過ぎなかった。それでも、ミョンぎゅの椅子への狂おしい思いはとどまるところを知らない。それほどまで椅子を欲しがるカン・ミョンギュに妻のソン・ジエは嫉妬を覚え……
椅子をめぐって、カン・ミョンギュ、ソン・ジエ、ムン・ドクス、ソンウの激しいバトルが展開される。それは恋なのか? 所有欲なのか? それとも……?


『加害者探求‐付録:謝罪文作成ガイド』

(2017年4月初演)
作:ク・ジャヘ
翻訳:洪明花
演出:西尾佳織

出演:石山蓮華 斉藤沙紀 辻村優子 中島愛子(張ち切れパンダ) 中西星羅 堀光太郎 山﨑千里佳

2021年1月29日(金)19:00
2021年1月31日(日)14:00 

31日 アフタートーク 西尾佳織×ク・ジャヘ(リモート参加)

加害に関する歴史を記録するこの書は、全て、自発的参加によって作成され、完成と同時に燃やされるものとする。作成それ自体に意味があると考えるためである。世の中のすべての芸術は詩性を持つ。よってこの書においては、芸術そのものを〈詩〉とし、芸術に携わる者は〈詩人〉、未だ〈詩人〉ではなく志望している者を〈習作生〉とし、芸術界を〈この世界〉と表記する。
この世界を記録するためにここに立つ。生来の狂人として生まれ、この世界で加害者になるしかなかった詩人たちが自ら記録し、自ら罰を下す、最初で最後の唯一の一冊……『加害者探求』。


シンポジウム
『これからの日韓演劇交流』

パネラー 大笹吉雄 シム・ジェチャン シライケイタ イ・ホンイ
2021年1月31日(日)17:00

チケット発売中!!

料金 1500円
通し券4000円(日韓演劇交流センターのみ取扱)
全席自由

チケット取り扱い
座・高円寺チケットボックス
03-3223-7300(10時〜18時・月休)
窓口10時〜19時
https://za-koenji.jp/

日韓演劇交流センター
050-5327-9826(11時〜18時)

韓国現代戯曲ドラマリーディングVol.Ⅹ 出演者決定

2021年1月27〜31日、座・高円寺1にて開催の「韓国現代戯曲ドラマリーディングVol.Ⅹ」、出演者が決定しましたのでお知らせします。

『激情万里』

 (1991年初演)  
作:キム・ミョンゴン 
翻訳:石川樹里
演出:南慎介
出演:加藤亮佑、川鍋知記、日下部そう、小林あや、小林咲子、ししどともこ、田崎哲也、とみやまあゆみ、永野和宏、蒔原朋実、松井壮大、山崎丸光、山森信太郎、吉村公佑、渡邊真砂珠

2021年1月27日(水)19:00 アフタートーク 司会:未定 南慎介
2021年1月30日(土)14:00 アフタートーク 南慎介×キム・ミョンゴン

『椅子は悪くない』

(2002年初演)
作:ソン・ウッキョン 
翻訳:上野紀子
演出:鄭義信
出演:國崎史人 小飯塚貴世江 酒井和哉 根本大介 矢内文章

2021年1月28日(木)19:00 アフタートーク 司会:未定 鄭義信
2021年1月30日(土)19:00 アフタートーク 鄭義信×ソン・ウッキョン

『加害者探求‐付録:謝罪文作成ガイド』

(2017年4月初演)
作:ク・ジャヘ
翻訳:洪明花
演出:西尾佳織
出演:石山蓮華 斉藤沙紀 辻村優子 中島愛子 中西聖羅 堀光太郎 山﨑千里佳

2021年1月29日(金)19:00 アフタートーク 司会:未定 西尾佳織
2021年1月31日(日)14:00 アフタートーク 西尾佳織×ク・ジャヘ

【緊急講座】韓国演劇は、いま? 10/9 14:00

緊急講座 韓国演劇は、いま?

未曾有のコロナ禍による影響は日本の演劇界に大きな暗い影を落とし、今もなお先の見えない恐怖が続いています。そのさなかにも、日本より早くこのコロナ禍に対応し、アーティストに寄り添う動きを見せた韓国政府、韓国演劇界の動向が聞こえてきていました。韓国芸術家福祉財団、芸術家創作準備金、#me too、「演劇の年」など、韓国演劇を取り巻く状況をお聞きする中で、日本演劇の現状と未来を考える講座となればと思います。

日時 10月9日(金)14時~16時半
会場 アットビジネスセンター池袋駅前 別館

★参加費 無料  要事前申し込み 会場・Zoomともに定員あり
★申込締め切り 10月3日(土)正午まで

講師 シム・ジェチャン
演出家、文化芸術行政家、劇団展望代表 現、日韓演劇交流協議会会長、2020演劇年執行委員長 前、韓国芸術家福祉財団代表、大邱文化財団代表、韓国演劇演出家協会会長、韓国演劇協会副理事長、韓国文化芸術委員会事務処長、国立劇団事務局長、韓国広域文化財団連合会会長 などを歴任
【受賞】 百想芸術大賞新人演出賞、ヨンヒ演劇賞、ヒソ演劇賞 2002 今年の演劇Best5選定『玉ねぎ』 韓国ミュージカル大賞外国ベストミュージカル作品賞『ユーリンタウン』
【主要演出作品】 演劇『アンサンブル』『沈香』『夫婦間の小さな犯罪』『麗しの詩』『こんな歌』『漂流する君のために』『玉ねぎ』『禽獣会議録録』『訪問者』『愛が来る』ほか ミュージカル『tick, tick…BOOM!』『ユーリンタウン』ほか

氏名・ふりがな・参加方法の選択(会場またはZoom)・連絡先(電話・Eメール)を、fax:048-423-2521  e-mail: akira@tee.co.jp  までお知らせください。

お問合せ 一般社団法人 日韓演劇交流センター
〒352-0011 埼玉県新座市野火止3-16-24 FAX:048-423-8738

韓国現代戯曲ドラマリーディングVol.Ⅹ 俳優オーディションのお知らせ 募集要項

日韓演劇交流センターでは、2021年1月に10回目の『韓国現代戯曲ドラマリーディング』を企画しております。日本でのこの形での公演は、今回が最後になる予定です。この公演に際しまして、出演者を広く公募することにしております。日韓の演劇交流事業として、韓国の現代作家を日本に紹介するためのリーディング公演となります。後述にあるような作品の上演を計画しております。

出演ご希望の方は下記の要項を熟読のうえ、必要項目すべてを応募用紙(書式自由)A4サイズ1枚にまとめ、メールか郵送にてお申し込みください。複数作品の応募可能ですが、今回はこれまでと違い、新型コロナ感染症対策を心掛けての準備となるため、同日に3作品のオーディションを実施はしません。それぞれ別日程で、同時に参加する方が大人数にならないように時間を区切りながら実施いたします。そのため、書類選考を必ず実施することになります。上記にあるように、A4サイズ1枚になっていない方は、書類不備となりますので、ご注意ください。作品ごとに、提出していただいても結構です。

希望作品を選んでいただくため、戯曲の粗訳を準備しております。メールのみの対応となります。必要な方は事務局までお問い合わせいただければ戯曲をメールにてお送りいたします。質問はお電話では対応しかねます。メールかFAXにてお願いいたします。

 それでは、たくさんの皆様からのご応募をお待ちしております。


上演3作品

『椅子は悪くない』

(2002年初演)
【作家】ソン・ウッキョン 【演出】鄭義信 【翻訳】上野紀子

『加害者探求‐付録:謝罪文作成ガイド』

(2017年初演) 
【作家】グ・ジャヘ 【演出】西尾佳織 【翻訳】洪明花

『激情万里』

 (1991年初演)
【作家】キム・ミョンゴン 【演出】南慎介 【翻訳】石川樹里


■お申し込み・お問い合わせ先

メール必ず件名に『2021日韓リーディング』としてください。
akira@tee.co.jp
郵送〒352-0011
埼玉県新座市野火止3-16-24 東京演劇アンサンブル内
日韓演劇交流センター宛
FAX(問い合わせのみ)048-423-8738
日韓演劇交流センター 宛

■応募用紙記載事項(A4、1枚のみ)

記載事項:写真、プロフィール(年齢、身長は必須)、希望作品、志望理由。
書式自由。
必ず連絡の取れるメールか電話番号かを明記してください。

■オーディション日時 

※会場は東京都内となります。書類選考で通った方にお知らせします。

『椅子は悪くない』 10月8日(木)11時~17時
『加害者探求‐付録:謝罪文作成ガイド』 10月13日(火)11時~17時
『激情万里』 10月21日(水)11時~17時

■締め切り

 9月25日(金)18時必着

■結果のお知らせ

書類選考結果 10月2日頃メールにて通知予定
オーディション結果 オーディション後1週間以内にお知らせいたします。

■オーディション参加条件

・韓国演劇に興味のある方で、20歳以上で1年以上の俳優経験者、心身ともに健康の方
・出演料は1ステージ10,000円程度(稽古手当・交通費込み)
・12月の顔合わせ、1月の稽古にすべて参加できること
・公演中は他の作品も必ず観劇し、期間中の行事に必ず参加すること
・チケットノルマはありませんが、積極的にチケットを売っていただくこと
・応募書類は返却いたしません。
※新型コロナ感染症対策に対応しながらの上演となりますので、予定が変更になることがありますので、その際にはご協力をお願いいたします。

■オーディション参加費

無料
書類作成費、郵送費、会場までの交通費は自己負担となります。


■作品について

『激情万里』

1991年初演

【作家】 キム・ミョンゴン
1952年生まれ。俳優、演出家、劇作家。現 世宗文化会館 理事長。前、文化観光部長官。

【翻訳】石川樹里 【演出】南慎介

【あらすじ】
日本の植民地化にあった時代から、朝鮮戦争に至るまでの韓国の演劇史を振り返ることができる作品として、第10回のリーディングにふさわしい。ただし、登場人物が20人以上。 主要人物6~7人、それ以外の役が20人以上。韓国での上演時は俳優18人で演じられた。
1928年春、新派劇団「北極星」がテントで巡回公演をしていると、嵐でテントが倒れ公演が中断する。団長の激しい叱責に、普段から不満を抱いていた団員達は集団で劇団を飛び出す。そんな中、団員のホン・ジョンミンとイ・ウォルソンが結婚することになり、パク・チョルの提案で三人は「開闢座」の『アリラン峠』に出演することになる。しかし、公演中に一人の青年が舞台に駆け上がり、光州学生運動(1929年)のチラシを撒いたことから、劇団は警察に目をつけられ、結局解散させられて団員はばらばらになる。
その後、ホン・ジョンミンは新派劇団である「朝鮮劇団」に、イ・ウォルソンは日本留学から帰国したノ・スンチョルが主宰する新劇団体「芸術劇団」に入って活動するが、結局ノ・スンチョルに恋したイ・ウォルソンは、ホン・ジョンミンと別れる。一方、KAPF(朝鮮プロレタリア芸術同盟)の傘下団体である「新天地劇団」に加入したシム・ヨンボクとジン・ギョンスクは同居していたが、KAPFのメンバーが次々に検挙されるなか、逮捕を避けて逃避する。太平洋戦争により、日本の総動員令が強化される頃、パク・チョルは満州に旅立ち、「朝鮮劇団」の看板俳優として人気を博していたホン・ジョンミンはノ・スンチョルとソン・ジンソプが率いる

日本の植民地化にあった時代から、朝鮮戦争に至るまでの韓国の演劇史を振り返ることができる作品として、第10回のリーディングにふさわしい。ただし、登場人物が20人以上。 主要人物6~7人、それ以外の役が20人以上。韓国での上演時は俳優18人で演じられた。

1928年春、新派劇団「北極星」がテントで巡回公演をしていると、嵐でテントが倒れ公演が中断する。団長の激しい叱責に、普段から不満を抱いていた団員達は集団で劇団を飛び出す。そんな中、団員のホン・ジョンミンとイ・ウォルソンが結婚することになり、パク・チョルの提案で三人は「開闢座」の『アリラン峠』に出演することになる。しかし、公演中に一人の青年が舞台に駆け上がり、光州学生運動(1929年)のチラシを撒いたことから、劇団は警察に目をつけられ、結局解散させられて団員はばらばらになる。

その後、ホン・ジョンミンは新派劇団である「朝鮮劇団」に、イ・ウォルソンは日本留学から帰国したノ・スンチョルが主宰する新劇団体「芸術劇団」に入って活動するが、結局ノ・スンチョルに恋したイ・ウォルソンは、ホン・ジョンミンと別れる。一方、KAPF(朝鮮プロレタリア芸術同盟)の傘下団体である「新天地劇団」に加入したシム・ヨンボクとジン・ギョンスクは同居していたが、KAPFのメンバーが次々に検挙されるなか、逮捕を避けて逃避する。太平洋戦争により、日本の総動員令が強化される頃、パク・チョルは満州に旅立ち、「朝鮮劇団」の看板俳優として人気を博していたホン・ジョンミンはノ・スンチョルとソン・ジンソプが率いる親日演劇団体「国民劇団」に加入し、自己嫌悪に陥る。ノ・スンチョルに失恋し自暴自棄になっていたイ・ウォルソンは唱劇団(パンソリを舞台化した公演)とともに日本に渡り、ホン・ジョンミンは慰問公演のために満州に渡る。満州で朝鮮義勇隊の一員となっていたパク・チョルと再会したホン・ジョンミンは、東北抗日義勇隊所属の文化工作隊に加わって抗日戦線に飛び込む。

日本の敗戦により、中国の延安派とソ連軍の葛藤で入国が難しくなったパク・チョルは延辺に残り、ホン・ジョンミンは帰国して、日本から戻っていたイ・ウォルソンと新たな暮らしをはじめる。シム・ヨンボクとジン・ギョンスクは南朝鮮労働党の団員となり、革命劇団を率いて、ホン・ジョンミンとイ・ウォルソンの娘であるソナが、その劇団の公演に出演する。一方、ホン・ジョンミンは右翼演劇団体に入ることを拒み、演劇活動を停止する。

米軍政の弾圧を避けて越北したシム・ヨンボクとジン・ギョンスクは、朝鮮戦争によって南下し、反米を訴える宣伝劇の稽古をしている最中に、仁川上陸作戦が始まって、春川に部隊を移動をすることになる。ソン・ジンソプは移動中に米軍の爆撃によって死亡、ホン・ジョンミンはイ・ウォルソンの家に避難し、先発隊と一緒に出発したソナは平壌に行くことになる。右翼に逮捕されたホン・ジョンミンは共産主義者として告発され銃殺される。 40年後、延辺演劇界の大家となっていたパク・チョルは、ソウルを訪問し、老人ホームで孤独に暮らしているイ・ウォルソンと再会する。


『椅子は悪くない』

2002年初演

【作家】ソン・ウッキョン 
1968年生まれ。劇作家、俳優。1995年に劇作家としてデビューして以来、40作あまりの戯曲を執筆。

【翻訳】上野紀子 【演出】鄭義信

【あらすじ】
ドクスの家具店で気に入った椅子を見つけたミョンギュ。しかし、その椅子はドクスの娘ソンミが製作したもので、売りものではないと言って、売ろうとしないドクス。ミョンギュはその椅子をどうしても買いたくて、30万ウォン払うから、手付金として3万ウォンを受け取ってくれと、3万ウォンをドクスに手渡す。しかし、この取引をめぐって各人の立場が衝突する。

椅子を作ったソンミは、手付金3万ウォンは受け取らないとして、ドクスに手付金を返すように言う。ドクスは残額27万ウォンも受け取ろうとする。ミョンギュは大金を払ってでも椅子を買いたいと思う。一方ミョンギュの妻チエは、家計が苦しいのに、そんなに高い椅子を買うことはないと主張し、椅子を買うことを諦めるか、手付金3万ウォン以上のお金を支払わないように言う。結局、手付金3万ウォンだけで椅子を買うことで、二人は合意する。しかし、ドクスがかわいそうになったミョンギュは、3万ウォン+7万ウォン支払うことを約束する。しかし、お金がないミョンギュは、残金7万ウォンが払えず、ドクスはミョンギュから金を受け取るために彼の後をつけけ回す。結局、ドクスはミョンギュの家に押し入って、椅子を奪い、手付金を返して帰る。椅子を持って帰ってきたのを見たソンミは、誰からも愛されない自分と椅子の身の上を悲観し、命を絶ってしまう。

幕を閉じたかに見えた演劇が、時間を巻き戻して再び始まる。ミョンギュはゴッホと芸術作品の価値を云々し、ドクスを言いくるめて椅子をただで持ちかえる。その後ドクスの家具店は店を閉め、ドクスは寝込んでしまう。 ソンミは、「父が健康を害したのはミョンギュのせいだ」とミョンギュを非難する。しかし、ミョンギュとジエはそんなことにはお構いなしに幸福だ。

幕を閉じたかに見えた演劇が、時間を巻き戻して再び始まる。ミョンギュは10万ウォン払って椅子を持って帰る。しかし夫の行動が理解できないジエは家を出て離婚を宣言する。

再び巻き戻された時間。全員が集まった席で、ミョンギュは椅子を作ったソンミに、この椅子を他人に与えたら何が残るのかと質問し、この椅子は買えない椅子だと結論を出して、椅子を買うことを諦める。


『加害者探求‐付録:謝罪文作成ガイド』

2017年4月初演

【作家】グ・ジャヘ(女性作家)
1982年生まれ。劇作家、演出家。劇団「ここは、当然、劇場」代表。
大学時代に演劇サークルで劇作と演出を担当。2010年に本格的に劇作家としてデビュー。
国立劇団でさまざまな演出家の演出助手を務め、独自のスタイルを見つける。
2012年に自作の『ここは、当然、劇場』を上演し、同じ名前の劇団を旗揚げ。

【翻訳】洪明花 【演出】西尾佳織

【あらすじ】
韓国の文壇でセクハラ告発が起こったのは2016年秋。演劇界でのセクハラ告発は、それから1年半ほど遅れた2018年春だった。本作は、演劇界のセクハラが暴露される前に、芸術界のセクハラを舞台に上げた初の作品である。劇の形式は、一般的な演劇のように登場人物が物語を紡いで行く形式ではなく、加害者達が自分達のセクハラを記録した一冊の本を完成させるという形式を取っている。俳優達は登場人物ではなく、記録書の序文、推薦の辞1、推薦の辞2、目次、付録など、膨大な内容を、立ったまま読み上げていく。。

大前提
「この記録は、記録され、完成した瞬間に破棄される」
「これより、芸術界を「この世界」、芸術家を「詩人」、芸術家志望者を「習作生」と呼ぶ」


■上演までの予定スケジュール

2020年
12月21日(月)13:30~17:30『椅子は悪くない』顔合わせ
18:00~全体顔合わせ
12月22日(火)10:30~14:30『加害者探求』顔合わせ
15:30~19:30『激情万里』顔合わせ
2021年
1月15日(金)~26日(火)うち7日程度 稽古@座・高円寺ほか
1月27日(水)19時『激情万里』
1月28日(木)19時『椅子は悪くない』
1月29日(金)19時『加害者探求』
1月30日(土)14時『激情万里』
19時『椅子は悪くない』
1月31日(日)14時『加害者探求』
17時シンポジウム
終了後全体打ち上げ

■入場料 

1,500円(シンポジウム含)  シンポジウムのみ500円

■上演会場

座・高円寺1

韓国現代戯曲ドラマリーディング Vol.Ⅹ 演出家募集について

日韓演劇交流センターがこれまで隔年で実施してきた「韓国現代戯曲ドラマリーディング」、残すところ最後の10回目を、2021年1月に予定しております。

実施ごとに注目していただき、多くのお客様にご来場いただき、また韓国演劇界とも深い交流の継続を実現してきました。これも多くのみなさまのご協力のおかげだと思い、この場を借りてお礼を申し上げます。

これまでの戯曲集とドラマリーディングという形での交流は最後になります。つきましては、公演に際しまして、3作品のうち2作品の演出家を公募することになりました。(今後、出演者もオーディション形式で募集したいと思っております。)当企画に興味を持つ演出家の方々には、ぜひご応募していただきたいと思います。下記の作品情報のほかに、事務局に粗訳をご用意しております。ご希望の方は事務局までメールにてお問い合わせください。ご応募お待ちしております。

応募資格18歳以上で、これまで演出経験の実績のある方
応募方法郵送、メールのどちらか
〒352-0011 埼玉県新座市野火止3-16-24
東京演劇アンサンブル内 日韓演劇交流センター 宛
メール akira@tee.co.jp
必ず件名に「日韓リーディング演出希望」とお書きください。
応募に必要なもの【書式自由】プロフィール、希望作品志望理由
演出料10万円程度
締切2020年7月31日必着
公演までの
スケジュール
8月 演出家決定
9月下旬 出演者オーディション・出演者決定
12月顔合わせ
1月上旬~1月中旬 稽古(約1週間)
座・高円寺稽古場ほか

公演概要
2021年1月27日(水)~31日(日)
座・高円寺1

1/27水1/28木1/29金1/30土1/31日
14:00作品A作品C
19:00作品A作品B作品C作品Bシンポジウム

お問合せ
akira@tee.co.jp
必ず件名に『2021日韓リーディング』としてください。

作家・作品について

公演の順番などは未定です。

『激情万里』

1991年初演

【作家】 キム・ミョンゴン
1952年生まれ。俳優、演出家、劇作家。現 世宗文化会館 理事長。前、文化観光部長官。

【翻訳】石川樹里

【あらすじ】
日本の植民地化にあった時代から、朝鮮戦争に至るまでの韓国の演劇史を振り返ることができる作品として、第10回のリーディングにふさわしい。ただし、登場人物が20人以上。 主要人物6~7人、それ以外の役が20人以上。韓国での上演時は俳優18人で演じられた。
1928年春、新派劇団「北極星」がテントで巡回公演をしていると、嵐でテントが倒れ公演が中断する。団長の激しい叱責に、普段から不満を抱いていた団員達は集団で劇団を飛び出す。そんな中、団員のホン・ジョンミンとイ・ウォルソンが結婚することになり、パク・チョルの提案で三人は「開闢座」の『アリラン峠』に出演することになる。しかし、公演中に一人の青年が舞台に駆け上がり、光州学生運動(1929年)のチラシを撒いたことから、劇団は警察に目をつけられ、結局解散させられて団員はばらばらになる。
その後、ホン・ジョンミンは新派劇団である「朝鮮劇団」に、イ・ウォルソンは日本留学から帰国したノ・スンチョルが主宰する新劇団体「芸術劇団」に入って活動するが、結局ノ・スンチョルに恋したイ・ウォルソンは、ホン・ジョンミンと別れる。一方、KAPF(朝鮮プロレタリア芸術同盟)の傘下団体である「新天地劇団」に加入したシム・ヨンボクとジン・ギョンスクは同居していたが、KAPFのメンバーが次々に検挙されるなか、逮捕を避けて逃避する。太平洋戦争により、日本の総動員令が強化される頃、パク・チョルは満州に旅立ち、「朝鮮劇団」の看板俳優として人気を博していたホン・ジョンミンはノ・スンチョルとソン・ジンソプが率いる親日演劇団体「国民劇団」に加入し、自己嫌悪に陥る。ノ・スンチョルに失恋し自暴自棄になっていたイ・ウォルソンは唱劇団(パンソリを舞台化した公演)とともに日本に渡り、ホン・ジョンミンは慰問公演のために満州に渡る。満州で朝鮮義勇隊の一員となっていたパク・チョルと再会したホン・ジョンミンは、東北抗日義勇隊所属の文化工作隊に加わって抗日戦線に飛び込む。
日本の敗戦により、中国の延安派とソ連軍の葛藤で入国が難しくなったパク・チョルは延辺に残り、ホン・ジョンミンは帰国して、日本から戻っていたイ・ウォルソンと新たな暮らしをはじめる。シム・ヨンボクとジン・ギョンスクは南朝鮮労働党の団員となり、革命劇団を率いて、ホン・ジョンミンとイ・ウォルソンの娘であるソナが、その劇団の公演に出演する。一方、ホン・ジョンミンは右翼演劇団体に入ることを拒み、演劇活動を停止する。
米軍政の弾圧を避けて越北したシム・ヨンボクとジン・ギョンスクは、朝鮮戦争によって南下し、反米を訴える宣伝劇の稽古をしている最中に、仁川上陸作戦が始まって、春川に部隊を移動をすることになる。ソン・ジンソプは移動中に米軍の爆撃によって死亡、ホン・ジョンミンはイ・ウォルソンの家に避難し、先発隊と一緒に出発したソナは平壌に行くことになる。右翼に逮捕されたホン・ジョンミンは共産主義者として告発され銃殺される。
40年後、延辺演劇界の大家となっていたパク・チョルは、ソウルを訪問し、老人ホームで孤独に暮らしているイ・ウォルソンと再会する。


『加害者探求‐付録:謝罪文作成ガイド』

2017年4月初演

【作家】グ・ジャヘ(女性作家)
1982年生まれ。劇作家、演出家。劇団「ここは、当然、劇場」代表。
大学時代に演劇サークルで劇作と演出を担当。2010年に本格的に劇作家としてデビュー。
国立劇団でさまざまな演出家の演出助手を務め、独自のスタイルを見つける。
2012年に自作の『ここは、当然、劇場』を上演し、同じ名前の劇団を旗揚げ。

【訳】洪明花

【あらすじ】
韓国の文壇でセクハラ告発が起こったのは2016年秋。演劇界でのセクハラ告発は、それから1年半ほど遅れた2018年春だった。本作は、演劇界のセクハラが暴露される前に、芸術界のセクハラを舞台に上げた初の作品である。劇の形式は、一般的な演劇のように登場人物が物語を紡いで行く形式ではなく、加害者達が自分達のセクハラを記録した一冊の本を完成させるという形式を取っている。俳優達は登場人物ではなく、記録書の序文、推薦の辞1、推薦の辞2、目次、付録など、膨大な内容を、立ったまま読み上げていく。

大前提
「この記録は、記録され、完成した瞬間に破棄される」
「これより、芸術界を「この世界」、芸術家を「詩人」、芸術家志望者を「習作生」と呼ぶ」


※こちらの作品は公募外です。

『椅子は悪くない』

(2002年初演)

【作家】ソン・ウッキョン 
1968年生まれ。劇作家、俳優。1995年に劇作家としてデビューして以来、40作あまりの戯曲を執筆。

【演出】鄭義信 【訳】上野紀子

第9回現代日本戯曲朗読公演2020(現代日本戯曲リーディング)

2020年2月21日(金)~23日(日・祝)
韓国 ソウル文化財団 南山芸術センター

「Das Orchester」
2020年2月21日(金)19:30~

「この楽器が、武器だった…。」芸術と政治の不協和音に揺れ、これに立ち向かう世界最高レベルのオーケストラ指揮者と団員たちの苦悩を描く。野木萌葱が19歳で執筆した戯曲を、昨年22年ぶりに再演し、埋もれていた傑作と評された。時代を越えた芸術と政治の対決、いまだ古びぬテーマを、劇作家、演出家、評論家としてマルチに活動するチョン・ジンセの演出でおくる。

作:野木萌葱
翻訳:イ・ホンイ
演出:チョン・ジンセ
出演:ソン・サンギュ、チョン・ソヌ、ソ・ジウ、チャンミ、キム・ジュヌ、チャン・ウソン、チャン・セミ、キム・シンノク

アフタートーク
野木萌葱×チョン・ジンセ

***

「その夜と友達」
2020年2月22日(土)15:00~

「俺ら親友だよな?」二人の男と一人の女の友情を描く。他者を理解すること、理解できないこと、理解されたいこと、理解されないこと…。タイ、マレーシア、インドなどアジア諸国やニューヨークなど、海外公演や国際共同制作に積極的に取り組み、他者との関わりを模索する山本卓卓。彼の戯曲が韓国で紹介されるのは今回が初となる。いち早くme too が盛り上がりを見せ、価値観の変化が進む韓国で、「人が大好き」な演出家ミン・セロムが演出を手がける。

作:山本卓卓
翻訳:イ・ジヒョン
演出:ミン・セロム
出演:キム・ジョンフン、チェ・スンジン、ハ・ジウン、イ・ジョンミ

アフタートーク
劇団制作 坂本もも×演出家ミン・セロム

***

「Birth」
2020年2月23日(日・祝)15:00~

「オレだよ、オレ…」母のぬくもりを知らない男たちが受話器の向こうに聞いたのは、母の声だった。シライケイタの初期代表作で、劇団温泉ドラゴンの出世作でもある「Birth」。2014年と2015年に韓国ツアーを行い、密陽演劇祭で戯曲賞を受賞する快挙を遂げた。男優を中心とした骨太のドラマを得意とする作家の原点であり、シライを韓国に強く結びつけ、日韓の歴史に目を向けさせるきっかけともなった。演出を手がけるのは、シライが敬愛する劇団コルモッキルのパク・クニョン。

作:シライケイタ
翻訳:ソン・サンヒ、塚口知
演出:パク・クニョン
出演:ジ・ドンイク、イ・ホヨル、キム・ドックァン

アフタートーク
シライケイタ×パク・クニョン

***

シンポジウム
韓日演劇交流の未来

2/23(日)17:30〜
戦後最悪とも言われる日韓関係悪化の中で、演劇交流の未来を探る。
パネリスト
チャン・ジョン(国民日報記者)
コ・ジュヨン(独立プロデューサー)
太田昭(日韓演劇交流センター事務局長)
シライケイタ(劇作家・演出家)

***

同時刊行の戯曲集に掲載の作品

『百年の秘密』
作=ケラリーノ・サンドロヴィッチ
翻訳=コ・ジュヨン

『浮標』
作=三好十郎
翻訳=シム・ヂヨン

劇団 火の電車(A fire tank/ブレジョンチャ)『花火』
日本に紹介したい韓国演劇(3)

2019年1月にソウル東洋芸術劇場で行われた「韓日演劇キャンプ」の際に、「日本に紹介したい韓国演劇15本」(2019年版)のプレゼン発表がありました。その時の資料を翻訳・整理したものを順次掲載していきます。

劇団「火の電車(A fire tank/ブレジョンチャ)」『花火』

初演=2017年
上演時間=100分
作・演出=ビョン・ヨンジン

【劇団紹介】
消えない火
疲れ果てない電車
我々は劇団火の電車です。

劇団のFacebookページ

作品紹介】
「花火」は、人気アニメの主題歌だけを歌い続けてきた歌手、彼女のマネージャー、そして自分が一流俳優だと勘違いしている役者、三人の更年期を描いた作品です。
誰もが持っている自分への愛、そしてそれに対する渇き。非情な巨搭の下で生きている我々にとって美しい希望を与えるすべての感性は、やはり自分を慰める愛から始まります。アニメソングの歌手を中心に、素直な夢と愛の物語を描いていきたいと思います。

【あらすじ】
かつての人気アニメの主題歌だけをずっと歌い続けてきた歌手セイコ!
そんな彼女のそばにずっといてくれたマネージャー・サキ!
そして自分がまだ一流俳優だと勘違いしているヒロシ!
たまには堂々と、たまには黙々と、自分の道を歩んできた彼らの前に、それぞれの「更年期」が訪れる。
絶対に戻れない! 輝く青春時代があるように
決してただ流せない! 熟された更年期もある。
セイコとサキ、そしてヒロシ。
三人の愉快でとんでもない更年期の物語が始まる!

劇団火の電車『花火』

劇団スタジオ・マルリ『京城犬夢伝』
日本に紹介したい韓国演劇(2)

2019年1月にソウル東洋芸術劇場で行われた「韓日演劇キャンプ」の際に、「日本に紹介したい韓国演劇15本」(2019年版)のプレゼン発表がありました。その時の資料を翻訳・整理したものを順次掲載していきます。

(2)劇団スタジオ・マルリ(스튜디오 말리)
『京城犬夢伝(경성견몽전)』

初演=2017年
上演時間=100分
演出=チェ・ソウン

【劇団紹介】
マルリは人を動かし、社会、国、そして地球を変える作品を作りながら、みんなが幸せな芸術世界を形成することを目標にする公演芸術団体です。
https://www.facebook.com/studiomaly5/

【作品紹介】
この作品は、人間であることを諦めた人と、人間らしく生きていく動物の物語です。客席に笑顔を与えながらも、現在を生きる我々を振り向いてみる作品になると思います。

【あらすじ】
舞台は、植民地時代の京城(ソウル)。イ・グァン博士は祖国の裏切者で、今は犬の研究をしている。彼の研究対象は路地の犬。そのなかの一匹を人間に変える実験を行い、実験は成功。その犬人間は「イ・グァンジュン」と名前を付けられる。しかし、彼は愛の感情を分かり、自分の存在に対し混乱してしまう。結局、イ・グァン博士の狂気に気づいた博士の弟子ハリムは、グァンジュンがもっと人間らしく生きていくように彼を解放する。

京城犬夢伝

 

劇団スマイル『家族です』
日本に紹介したい韓国演劇(1)

2019年1月にソウル東洋芸術劇場で行われた「韓日演劇キャンプ」の際に、「日本に紹介したい韓国演劇15本」(2019年版)のプレゼン発表がありました。その時の資料を翻訳・整理したものを順次掲載していきます。

(1)劇団スマイル(극단 웃어)
「家族です(가족입니다)」

初演=2014年
作・演出=キム・ジンウク

【劇団紹介】
2014年旗揚げ。普通に生きている人々の人臭い物語を作るのが目標。
https://facebook.com/20131121family

【作品紹介】
ただ普通に生きたい!平凡な人たちの素直な物語。

【あらすじ】
幼い頃、ただ二人で暮していたキヨン(兄)とジニ(妹)。
キヨンは、ジニのために中学を中退し、仕事を探す。彼は二十歳になって、もう仕事ができなくなり、会社を作ると言いながら、家に引き籠もってしまう。一方、ジニは高校を卒業した後、就職をし、兄に代わって生活を支えるようになったが、自身の結婚により、一人になってしまう兄が心配で、ずっと離れていた母に会う決心をする。しかし母がキヨンとジニのために何かをしようとすると、ジニにとってはそれが傷になってしまう。キヨンは何も知らないままジニの結婚相手に、自分が兄であることを分かってもらおうと情けない行動を繰り返す。
ジニの結婚式のために、母はキヨンの前に現れる勇気を出してみる。
そして20年も離れて暮していた二人がついに再会する……。