韓国現代戯曲ドラマリーディング
エクストラエディション

韓国現代戯曲ドラマリーディング
エクストラエディション

シアタートラム
2018年3月23日〜25日

(公演終了)

ぼんくらと凡愚/クミの五月ちらし裏面

ぼんくらと凡愚

3月23日金19:00/3月25日日13:00

クミの五月

3月24日土14:00/3月25日日17:00

シンポジウム『光州事件』その後の民主化運動

3月24日土16:00
パネリスト
イ・サンウ (『ジマンジ韓国戯曲選集100』編集委員・高麗大学国文科教授・演劇評論家)
キム・ソヨン (演劇評論家・韓日演劇交流協議会副会長)
真鍋祐子 (『増補 光州事件で読む現代韓国』著者・東京大学東洋文化研究所教授)
河野孝 (演劇評論家・日韓演劇交流センター委員)
司会 西堂行人(演劇評論家・日韓演劇交流センター委員)

リーディング・スタッフ 
舞台監督=辰巳次郎
照明=篠木一吉
音響=大場神
舞台監督助手=堀光太郎
照明オペレーター=伊藤翔大
制作=太田昭(東京演劇アンサンブル)/高橋俊也(THEATRE THEATER)

ぼんくらと 凡愚

銃を持って強盗する奴だけが罪人か? この世には、権力と派閥頼みに、 合法的に強盗を働いている奴はいくらでもいる

ぼんくらと凡愚

七〇年代初頭、韓国の新聞一面を飾った二人組の連続殺人犯。獄中で意気投合、出獄後、四回の犯行に及ぶ野良犬のような人生。事件担当の捜査官が、ある時は舞台監督として、被害者を生き返らせ、犯人と共に実況見分、劇中劇を演じるなど笑いを交えつつ辿り直す。 被害者の、凶悪犯の崖っぷちのすさまじい「いのちの声」。愛する者に容赦なく発せられる銃声……。現代社会の不合理な構造と矛盾を抉り出す社会風刺劇であり、告発劇である。

作者
金相烈 キム・サンヨル 1941-1998
1941年、京畿道開豊郡出身。1966年、中央大学演劇映画科卒。1967年、劇団架橋創立、常任演出と代表。1976年、李根三『流浪劇団』で韓国演劇映画芸術賞演出賞受賞。75年、『カササギ橋の寓話』(文化観光部公募戯曲当選)、77年、『道』(サムスン道義文化著作賞)。劇作家としての地位も確立。脚本家としてTV『捜査班長』を四年間執筆。78年、現代劇場常任演出家。81年、ニューヨーク「ラ・ママ」劇団で一年間研修。82年、『兎唇曲馬団』を発表する一方、ミュージカル演出にも主導的役割を果たした。84年、劇団「マダン」セシールに移籍。88年、劇団神市を創立、ソウルオリンピック開閉会式、大田エキスポなど国際的文化行事の構成台本と総演出担当。百想芸術大賞戯曲賞・演出賞はじめ数々の賞を受賞。98年すい臓癌で死亡。没後、金相烈演劇賞が設けられ、毎年優れた劇作家・演出家を顕彰している。

翻訳
津川泉 つがわ・いずみ
1949年水戸生まれ。75・76年創作ラジオドラマ懸賞公募佳作。76年より作家活動開始。89年芸術選奨文部大臣新人賞、第三回ゴールデンアンテナ国際テレビ祭グランプリ受賞。著書『JODK消えたコールサイン』(白水社)。90年から韓国語を学び、01~03年韓国西江大学語学留学。共著『韓国現代戯曲集』(日韓演劇交流センター)『読んで演じたくなるゲキの本』(幻冬舎)。編集・共訳『韓日対訳創作シナリオ選集』金志軒(集文堂・韓国)。『在朝日本人情報事典』高麗大学校グローバル日本研究院・執筆参加。柳敏榮『韓国演劇運動史』訳了。日本脚本家連盟員。共立女子大学「劇芸術コース」非常勤講師。日韓演劇交流センター専門委員。

上演データ
演出=シライケイタ(温泉ドラゴン)
作曲=星野志門
演出助手=市川洋平/斉藤千夏(S.A.Bカンパニー)

出演
李鐘大(イ・ジョンデ) 東谷英人(DULL-COLORED POP)
文度錫(ムン・ドソク) 寺本一樹(スタッフ・ワン)
捜査官 井上倫宏(演劇集団円)
ファン・ウンギョン(李鐘大の妻) 沖田愛(高岡事務所)
アヨン(ホステス) 山崎薫(ワタナベエンターテインメント)
女性警官(ミス・ ヒョン) 北澤小枝子(ジンギーザップエンタープライズ)
老婆(李鐘大の母親) 秦由香里
パク・ヨンス 阿岐之将一(ワタナベエンターテインメント)
李正洙(イ・ジョンス) 柏木俊彦(第0楽章)
妻(パク・ヨンスの妻) 喜多村千尋(劇団東京ヴォードヴィルショー)
中年紳士(ファン・ウンギョンの父) 米山実(劇団文化座)

 

クミの 五月

愛する兄さん、一握りの土と、木の葉、草に集く蟲の音も、 この地では、すべて兄さんとひとつです

クミの五月

1980年五月光州抗争で戒厳軍との銃撃戦により道庁で射殺された大学生李正然(イ・ジョンヨン)の妹クミの手記をもとに劇化。市場のおばあさんが軍に殺されたのを機にデモに合流した兄。市民軍と戒厳軍の攻防、市民軍の内部分裂まで描き切った臨場感あふれるマダン劇。一連の「五月劇」の出発点であり、頂点に立った傑作である。抗争に身を投じ、仲間を捨て、逃亡した作者だからこそ、書くことができた比類なき切迫感……!

作者
朴暁善 パク・ヒョソン 1954-1998
1954年忠清南道大田出身。全南大学国文科卒業。78年、「行動する作家」黄晳暎らと「民衆文化運動」に参加。労働者や貧しい市民のための「野火夜学」教師をしながら『咸平(ハムピョン)さつまいも』作・演出。79年、大学演劇部後輩達と劇会「広大」を創立。80年、黄晳暎『韓氏年代記』稽古中の5月、光州抗争勃発。劇団員と市民軍の広報活動に従事。最終決戦前夜26~27日深更、道庁付近から離脱。1年7ヶ月間の逃亡生活の末に自首。釈放後、83年劇団「トバギ(生粋・土地っ子)」創立。88年『クミの五月』、92年『彼らは潜水艦に乗った』、93年『牡丹花』、97年『青い糸赤い糸』など一連の五月劇を発表、「永遠の五月広大」、「五月光州の伝導師」の愛称を得る。94年、創作戯曲集『クミの五月』出版。97年第2回光州ビエンナーレ開幕祭・閉幕祭総演出。98年9月10日午後3時、肝臓癌で死亡(満四四歳)。「野火夜学」に関わった光州抗争の犠牲者と共に「野火七烈士」の一人として追悼されている。

上演データ
演出=鈴木アツト(劇団印象-indian elephant-)
演出助手=有川義孝(ヘアピン倶楽部)/相原雪月花
出演
ジョンヨン(李正然、八〇年抗争時、全南大二年生) 岡田篤弥(劇団 球)
クミ(ジョンヨンの妹・高校生) 村山かおり(劇団東演)
父(ジョンヨンの父) 広田豹
母(ジョンヨンの母) 今井美佐穂(第0楽章)
羅州おっ母(羅州出身の市場の女) 小飯塚貴世江(クリオネ)
咸平おっ母(咸平出身の市場のハルモニ) 中村万里
務安おっ母(務安出身の市場の女) 清水ひろみ
長城おっ母(長城出身の市場の女) 橘 麦(e-factory)
宝城おっ母(宝城出身の市場の女) 成澤布美子
チェ氏(ジョンヨンの父の弟) 吉武大地(東宝芸能)
カン氏 根本大介
ト書き 西井裕美