日韓演劇交流センターがこれまで隔年で実施してきた「韓国現代戯曲ドラマリーディング」、残すところ最後の10回目を、2021年1月に予定しております。
実施ごとに注目していただき、多くのお客様にご来場いただき、また韓国演劇界とも深い交流の継続を実現してきました。これも多くのみなさまのご協力のおかげだと思い、この場を借りてお礼を申し上げます。
これまでの戯曲集とドラマリーディングという形での交流は最後になります。つきましては、公演に際しまして、3作品のうち2作品の演出家を公募することになりました。(今後、出演者もオーディション形式で募集したいと思っております。)当企画に興味を持つ演出家の方々には、ぜひご応募していただきたいと思います。下記の作品情報のほかに、事務局に粗訳をご用意しております。ご希望の方は事務局までメールにてお問い合わせください。ご応募お待ちしております。
応募資格 | 18歳以上で、これまで演出経験の実績のある方 |
応募方法 | 郵送、メールのどちらか 〒352-0011 埼玉県新座市野火止3-16-24 東京演劇アンサンブル内 日韓演劇交流センター 宛 メール akira@tee.co.jp 必ず件名に「日韓リーディング演出希望」とお書きください。 |
応募に必要なもの | 【書式自由】プロフィール、希望作品志望理由 |
演出料 | 10万円程度 |
締切 | 2020年7月31日必着 |
公演までの スケジュール | 8月 演出家決定 9月下旬 出演者オーディション・出演者決定 12月顔合わせ 1月上旬~1月中旬 稽古(約1週間) 座・高円寺稽古場ほか |
公演概要
2021年1月27日(水)~31日(日)
座・高円寺1
1/27水 | 1/28木 | 1/29金 | 1/30土 | 1/31日 | |
14:00 | 作品A | 作品C | |||
19:00 | 作品A | 作品B | 作品C | 作品B | シンポジウム |
お問合せ
akira@tee.co.jp
必ず件名に『2021日韓リーディング』としてください。
作家・作品について
公演の順番などは未定です。
『激情万里』
1991年初演
【作家】 キム・ミョンゴン
1952年生まれ。俳優、演出家、劇作家。現 世宗文化会館 理事長。前、文化観光部長官。
【翻訳】石川樹里
【あらすじ】
日本の植民地化にあった時代から、朝鮮戦争に至るまでの韓国の演劇史を振り返ることができる作品として、第10回のリーディングにふさわしい。ただし、登場人物が20人以上。 主要人物6~7人、それ以外の役が20人以上。韓国での上演時は俳優18人で演じられた。
1928年春、新派劇団「北極星」がテントで巡回公演をしていると、嵐でテントが倒れ公演が中断する。団長の激しい叱責に、普段から不満を抱いていた団員達は集団で劇団を飛び出す。そんな中、団員のホン・ジョンミンとイ・ウォルソンが結婚することになり、パク・チョルの提案で三人は「開闢座」の『アリラン峠』に出演することになる。しかし、公演中に一人の青年が舞台に駆け上がり、光州学生運動(1929年)のチラシを撒いたことから、劇団は警察に目をつけられ、結局解散させられて団員はばらばらになる。
その後、ホン・ジョンミンは新派劇団である「朝鮮劇団」に、イ・ウォルソンは日本留学から帰国したノ・スンチョルが主宰する新劇団体「芸術劇団」に入って活動するが、結局ノ・スンチョルに恋したイ・ウォルソンは、ホン・ジョンミンと別れる。一方、KAPF(朝鮮プロレタリア芸術同盟)の傘下団体である「新天地劇団」に加入したシム・ヨンボクとジン・ギョンスクは同居していたが、KAPFのメンバーが次々に検挙されるなか、逮捕を避けて逃避する。太平洋戦争により、日本の総動員令が強化される頃、パク・チョルは満州に旅立ち、「朝鮮劇団」の看板俳優として人気を博していたホン・ジョンミンはノ・スンチョルとソン・ジンソプが率いる親日演劇団体「国民劇団」に加入し、自己嫌悪に陥る。ノ・スンチョルに失恋し自暴自棄になっていたイ・ウォルソンは唱劇団(パンソリを舞台化した公演)とともに日本に渡り、ホン・ジョンミンは慰問公演のために満州に渡る。満州で朝鮮義勇隊の一員となっていたパク・チョルと再会したホン・ジョンミンは、東北抗日義勇隊所属の文化工作隊に加わって抗日戦線に飛び込む。
日本の敗戦により、中国の延安派とソ連軍の葛藤で入国が難しくなったパク・チョルは延辺に残り、ホン・ジョンミンは帰国して、日本から戻っていたイ・ウォルソンと新たな暮らしをはじめる。シム・ヨンボクとジン・ギョンスクは南朝鮮労働党の団員となり、革命劇団を率いて、ホン・ジョンミンとイ・ウォルソンの娘であるソナが、その劇団の公演に出演する。一方、ホン・ジョンミンは右翼演劇団体に入ることを拒み、演劇活動を停止する。
米軍政の弾圧を避けて越北したシム・ヨンボクとジン・ギョンスクは、朝鮮戦争によって南下し、反米を訴える宣伝劇の稽古をしている最中に、仁川上陸作戦が始まって、春川に部隊を移動をすることになる。ソン・ジンソプは移動中に米軍の爆撃によって死亡、ホン・ジョンミンはイ・ウォルソンの家に避難し、先発隊と一緒に出発したソナは平壌に行くことになる。右翼に逮捕されたホン・ジョンミンは共産主義者として告発され銃殺される。
40年後、延辺演劇界の大家となっていたパク・チョルは、ソウルを訪問し、老人ホームで孤独に暮らしているイ・ウォルソンと再会する。
『加害者探求‐付録:謝罪文作成ガイド』
2017年4月初演
【作家】グ・ジャヘ(女性作家)
1982年生まれ。劇作家、演出家。劇団「ここは、当然、劇場」代表。
大学時代に演劇サークルで劇作と演出を担当。2010年に本格的に劇作家としてデビュー。
国立劇団でさまざまな演出家の演出助手を務め、独自のスタイルを見つける。
2012年に自作の『ここは、当然、劇場』を上演し、同じ名前の劇団を旗揚げ。
【訳】洪明花
【あらすじ】
韓国の文壇でセクハラ告発が起こったのは2016年秋。演劇界でのセクハラ告発は、それから1年半ほど遅れた2018年春だった。本作は、演劇界のセクハラが暴露される前に、芸術界のセクハラを舞台に上げた初の作品である。劇の形式は、一般的な演劇のように登場人物が物語を紡いで行く形式ではなく、加害者達が自分達のセクハラを記録した一冊の本を完成させるという形式を取っている。俳優達は登場人物ではなく、記録書の序文、推薦の辞1、推薦の辞2、目次、付録など、膨大な内容を、立ったまま読み上げていく。
大前提
「この記録は、記録され、完成した瞬間に破棄される」
「これより、芸術界を「この世界」、芸術家を「詩人」、芸術家志望者を「習作生」と呼ぶ」
※こちらの作品は公募外です。
『椅子は悪くない』
(2002年初演)
【作家】ソン・ウッキョン
1968年生まれ。劇作家、俳優。1995年に劇作家としてデビューして以来、40作あまりの戯曲を執筆。
【演出】鄭義信 【訳】上野紀子